キングダム実在武将一覧|史実の最期はどうなった?
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この記事の結論
- 主要武将はほとんど実在する。王騎=王齮、桓騎=桓齮など表記だけが違う人物も多い
- 桓騎の最期は『史記』(敗走後に記録途絶)と『戦国策』(戦死)で記述が割れている
- 六大将軍は制度こそ創作だが、周を終わらせた摎を含む6人全員が実在の将軍だ
「天下の大将軍」王騎は実在する。ただし『史記』に残っているのは、将軍に任じられたことと紀元前244年に死んだこと、ほぼそれだけだ。あの矛も、摎との恋も、龐煖との死闘も、歴史書のどこにも書かれていない。
キングダムの面白さは、この「記録の空白」の使い方にある。実在の名前と戦績だけを史実から借り、空白を全部ドラマで埋める。だから誰が実在で、史実ではどう死んだのかを知っておくと、この漫画は二度読める。主要武将を史実名との対応つきで整理した。
実在と架空の早見表|漫画名と史実名の対応
| 漫画での名前 | 史実名 | 陣営 | 史実での結末 |
|---|---|---|---|
| 信 | 李信 | 秦 | 楚遠征で大敗、のち復帰。最期の記録なし |
| 嬴政 | 始皇帝 | 秦 | 紀元前221年に中華統一、前210年没 |
| 王騎 | 王齮 | 秦 | 紀元前244年死去。死因不明 |
| 王翦 | 王翦 | 秦 | 趙・燕・楚を滅ぼし、引退して天寿 |
| 王賁 | 王賁 | 秦 | 魏・燕・斉を滅ぼす。最期の記録なし |
| 蒙武 | 蒙武 | 秦 | 楚攻めで項燕を破る。最期の記録なし |
| 蒙恬 | 蒙恬 | 秦 | 匈奴討伐と長城築造。始皇帝没後に自害を強要される |
| 桓騎 | 桓齮 | 秦 | 李牧に敗北。その後は史料で記述が割れる |
| 楊端和 | 楊端和 | 秦 | 邯鄲包囲を最後に記録が途絶える。性別の記載なし |
| 騰 | 内史騰 | 秦 | 韓を滅ぼす。最期の記録なし |
| 麃公 | 麃公 | 秦 | 記録はほぼ1件のみ。戦死の記録はない |
| 李牧 | 李牧 | 趙 | 讒言により処刑。約3か月後に邯鄲陥落 |
| 龐煖 | 龐煖 | 趙 | 合従軍で秦に迫る。以後の記録が途絶える |
| 廉頗 | 廉頗 | 趙→魏→楚 | 楚の寿春で客死 |
| 呂不韋 | 呂不韋 | 秦 | 失脚後、毒を仰いで自殺 |
| 昌平君 | 昌平君 | 秦→楚 | 最後の楚王に擁立され、戦死 |
| 春申君 | 黄歇 | 楚 | 刺客に暗殺され一族皆殺し |
| 河了貂 | ─ | 秦 | 完全な架空キャラクター |
| 羌瘣 | 羌瘣 | 秦 | 実在。ただし記録は名前と戦歴のみ |
生死や役職の揺れが気になる人は、キングダムの階級一覧と秦国の派閥相関図を合わせて読むと立体的になる。
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六国が滅んだ順番|落としたのは全員実在の将軍だ
史実の統一戦は紀元前230年の韓から始まり、わずか9年で終わる。韓を落としたのは騰(内史騰)、趙を落としたのは王翦と楊端和と羌瘣、魏は王賁の水攻め、楚は王翦と蒙武。漫画でおなじみの顔ぶれが、そのまま歴史書に並んでいる。
注目してほしいのは羌瘣だ。『史記』秦始皇本紀には、王翦・楊端和とともに趙を攻めた将軍として羌瘣の名がはっきり残っている。つまりあの少女剣士は「名前と戦歴だけ実在する」武将で、性別も出自も一切記録がない。空白がここまで大きいからこそ、蚩尤の刺客という大胆な設定を差し込めたわけだ。
各国の位置関係は七国一覧で確認できる。
主人公・信(李信)は実在する|そして歴史から消える
李信は『史記』に「若く勇壮な将」と記された実在の将軍だ。燕攻めでは太子丹を追撃し、その武功で始皇帝の信頼を得た。
だが史実の李信を有名にしたのは、勝ち戦ではなく大敗だ。楚の攻略に必要な兵数を問われ、王翦が「60万」と答えたのに対し、李信は「20万で足りる」と豪語して総大将に抜擢された。結果は、楚将・項燕の3日3晩の追撃を受けての大敗。砦を二つ破られ、都尉7人を討たれた。秦の統一戦のなかでも数少ない、記録に残る大敗北である。
興味深いのはその後だ。李信は処刑された記録がなく、のちに燕・斉の掃討戦に復帰している。そして最期は書かれないまま、歴史から静かに消える。下僕出身という漫画の設定は創作だが、「大敗しても消えなかった将軍」という骨格は史実のままだ。
王騎の記録は、ほぼ1行しかない
史実の王騎(王齮)について分かっているのは、秦王政の即位期に蒙驁・麃公らと並んで将軍とされたこと、そして紀元前244年に死んだこと。これでほぼ全部だ。戦歴も、死因も、人柄も伝わっていない。
長平の戦いで活躍した王齕と同一人物ではないかという説もあるが、確定していない。キングダムは両者を別人として描いた上で、記録の空白に「六大将軍」「摎との恋」「龐煖との一騎打ち」をすべて創作で流し込んだ。史実1行から生まれたキャラクターとしては、漫画史でも屈指の膨らませ方だろう。
桓騎の最期は『史記』と『戦国策』で食い違う
桓騎(桓齮)は実在し、しかも残虐のイメージには史実の根拠がある。紀元前234年、平陽で趙将・扈輒を破った際に10万人を斬首したと『史記』に記録されているのだ。元野盗という出自は創作だが、「首斬り桓騎」の異名は史実の戦果から逆算されている。
そして最期。李牧に敗れたことは両史料が一致するが、その先が割れる。『史記』は「李牧が桓齮を敗走させた」と書き、以後の消息を記さない。一方『戦国策』は桓齮が殺されたと明記する。さらに現代の研究者には、敗走した桓齮が燕に亡命して樊於期と名を変えた、という同一人物説を唱える者もいる。これは学説であって確定した史実ではないが、敗軍の将の処刑を恐れる秦の法を考えると筋は通る。ひとりの武将の結末が2200年後も確定していない。この宙ぶらりんこそが歴史の面白さだ。
楊端和は性別すら記録されていない
山界の死王・楊端和も実在する。『史記』に残る戦歴は3件。魏の衍氏攻め、王翦・桓齮との鄴攻略、そして趙攻めでの邯鄲包囲だ。統一戦の要所にきちんと顔を出している。
ただし「山の民の女王」は完全な創作で、そもそも史書は楊端和の性別を書いていない。女性だったとする史料はないが、男性と明記した史料もない。当時の将軍だから男性だろうと解釈されてきただけだ。原作者はこの「誰も性別を書かなかった」という一点の空白から、あの強烈なキャラクターを立ち上げた。
六大将軍は6人全員が実在する|制度だけが創作だ
「戦争の自由を許された六将」という制度は史実に存在しない。だが白起・王齮・王齕・胡傷・司馬錯・摎の6人は、全員が実在の秦将だ。
特筆すべきは摎だろう。漫画では王騎の恋人として描かれた女性武将だが、史実の摎は紀元前256年に韓を破って4万を斬首し、同じ年に西周を攻めて周王朝を事実上終わらせた大物だ。約800年続いた周を畳んだ将軍の名前を、ほとんどの読者は漫画で初めて知ることになる。なお性別の記載はなく、王騎との関係も昭王の隠し子説もすべて創作だ。
新旧六大将軍の顔ぶれは六大将軍の解説記事で詳しく整理している。
李牧の最期は漫画より残酷だ
敵側にも実在武将は多い。筆頭は李牧だ。北辺で匈奴10余万騎を撃破し、桓齮の秦軍を大破して武安君に封じられた、秦の統一戦で最も手強い相手となった名将である。
その最期は戦場ではない。王翦の趙侵攻の際、秦の賄賂を受けた趙の寵臣・郭開の讒言によって謀反の疑いをかけられ、味方の趙王の命令で処刑された。そして李牧の死からわずか3か月ほどで邯鄲は陥落し、趙は事実上滅亡する。名将ひとりの処刑が国の寿命と直結した、戦国末期で最も苦い記録だ。
ちなみに龐煖は、史実では武神どころか道家思想を修めた知将で、合従軍を率いて秦に迫った記録を最後に消息が途絶える。信に討たれる結末は漫画の創作だ。
河了貂は架空、羌瘣は「名前だけ」実在
実在しない主要キャラの代表は河了貂だ。原作者自身が、山の民が登場するまでのマスコットとして生み出したと語っている。漂や山の民の面々、飛信隊の隊員たちも大半が創作だ。
逆に「実在するのに誰も実在すると思っていない」のが羌瘣で、前述のとおり趙攻めの将軍として史書に名が残る。キングダムの人物造形は、完全創作か、史実の骨格に肉付けするかの二択ではなく、「名前だけ借りて全部創作」という第三の型を多用している。
史実の続きを知ると、この先の展開が見えてくる
史実をたどると、漫画がまだ描いていない未来がいくつか確定している。王翦は楚を滅ぼして引退し、天寿を全うする。昌平君は秦を裏切り、最後の楚王として王翦・蒙武に敗れて死ぬ。蒙恬と蒙毅の兄弟は、始皇帝の死後に趙高の陰謀で命を落とす。
つまりキングダムの登場人物たちの「結末」は、かなりの部分がもう歴史に書いてある。それでも先が読めないのは、原泰久が空白を埋める名人だからだ。王騎という1行の記録があれだけの物語になった以上、残りの空白がどう埋まるのかは、史実を知っている読者ほど楽しみになる。年代は史料により1年前後の幅がある点だけ、頭の隅に置いておいてほしい。
よくある質問
王騎は実在した人物ですか?
実在します。史実名は王齮で、『史記』に将軍任命と紀元前244年の死去が記録されています。ただし戦歴や死因はほとんど伝わっておらず、矛や摎との恋、龐煖との一騎打ちは漫画の創作です。
桓騎は史実ではどうやって死にましたか?
史料で記述が割れています。『史記』は李牧に敗走させられた後の消息を記さず、『戦国策』は殺されたと明記します。燕に亡命して樊於期になったとする説は現代の学説で、確定した史実ではありません。
河了貂や羌瘣は実在しますか?
河了貂は完全な架空キャラクターです。一方の羌瘣は『史記』に趙攻めの将軍として名前が残る実在の人物ですが、記録は名前と戦歴のみで、性別や出自は一切書かれていません。
主人公の信(李信)は最後どうなりますか?
史実の李信は楚遠征で大敗した後も処刑されず、燕・斉の掃討戦に復帰した記録があります。ただしその後の消息や最期は史書に残っていません。
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参考・出典
本文の事実関係は以下の公式情報・資料で確認しています。
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