【呪術廻戦】九十九由基(つくもゆき)徹底解説|“原因療法”を目指した特級術師の思想と術式「星の怒り(ボンバイエ)」、羂索戦の真相(※ネタバレ注意)

引用:週刊少年ジャンプ 2022年52号

※本記事にはPRが含まれます。

※本記事は『呪術廻戦』本編の重要展開(渋谷事変以降〜死滅回游・羂索戦)に触れます。未読の方はご注意ください。


目次

  • 九十九由基とは何者か:登場回数以上に“世界観”を動かした人物
  • 特級術師・九十九由基の立ち位置(高専、御三家、天元との距離感)
  • 九十九が追い続けた「原因療法」:呪霊を生まれない世界にする発想
  • 元・星漿体という設定の重さ(天元/同化/犠牲の構造)
  • 東堂葵の師匠としての九十九:戦い方より“生き方”を教えた
  • 術式「星の怒り(ボンバイエ)」を分かりやすく解説
  • ガルダの役割:九十九の術式が“暴力”で終わらない理由
  • 反転術式・近接戦の強さ:なぜ九十九は“殴り合い”が異常に強いのか
  • 羂索との戦いの行方:勝敗だけで語れない“成果”と“代償”
  • 九十九の死が物語に残したもの:思想・情報・呪術界の未来
  • まとめ:九十九由基は「最強」より「解決」を選んだ特級術師

九十九由基とは何者か:登場回数以上に“世界観”を動かした人物

九十九由基(つくもゆき)は、呪術界における特級術師の一人。
五条悟や乙骨憂太のようにバトルで登場シーンが多いタイプではないのに、なぜここまで強烈な存在感を放つのか。

理由はシンプルで、九十九は「敵を倒す」より前に、世界の仕組みそのものを疑っていたからです。

呪術廻戦の世界では基本的に、

  • 呪霊が発生する
  • 呪術師が祓う
  • また発生する

という“終わらない仕事”が延々と続きます。
多くの呪術師が「呪霊が出たら祓う(対症療法)」を選ぶ中で、九十九は最初から別の問いを立てていました。

そもそも呪霊が生まれない世界を作りたい

この思いが、九十九由基というキャラクターの核です。
彼女は強さだけで特級になったのではなく、“解決の方向”が特級だった。


特級術師・九十九由基の立ち位置(高専、御三家、天元との距離感)

九十九は特級術師でありながら、呪術界のルールにどっぷり従うタイプではありません。
高専サイドに協力はするものの、「組織の一員」というより独立した研究者・行動者に近い。

さらに重要なのは、羂索(けんじゃく)ですら九十九の情報を掴み切れない描写があること。
千年単位で暗躍し、呪術界の裏まで知り尽くしている羂索が、なお警戒する。これは九十九が

  • 強い
  • 読めない
  • 目的が“権力”や“破壊”ではない

という厄介さを持っているからです。
呪術界は利害で動く者が多い中、九十九だけが「構造を終わらせる」という別軸で動いていました。


九十九が追い続けた「原因療法」:呪霊を生まれない世界にする発想

九十九の思想を理解するカギは「原因療法」です。

対症療法=呪霊が出たら祓う

高専や多くの呪術師がやっているのはこれ。
緊急対応としては正しい。でも根本解決ではない。

原因療法=呪霊が生まれない世界にする

九十九はこれを目指しました。
呪霊は基本的に「人間から漏れ出る呪力(負の感情のエネルギー)」が溜まって発生する存在です。
ならば、発想としては大きく2方向に分かれます。

  1. 人類全員を呪術師化して、呪力漏出を極小化する
  2. 人類から呪力そのものを無くして、発生源を絶つ

九十九は「呪霊を祓い続ける人生」を当然として受け入れない。
この問題意識が、かつての夏油傑とも接続していきます。
夏油が歪んだ形で“呪いを終わらせよう”としてしまったのに対し、九十九はより理性的に、しかし執念深くこの問いを追い続けた。


元・星漿体という設定の重さ(天元/同化/犠牲の構造)

九十九を語るうえで、元・星漿体という肩書きは軽くありません。

星漿体とは、天元(てんげん)という存在の“同化”に関わる器のようなもの。
同化は呪術界の結界や仕組みの維持に関わる重要事項であり、そこには常に「誰かの犠牲」が含まれます。

九十九が原因療法に執着する動機として、この設定は強烈に効いています。

  • 呪術界を守るために、個人が消費される
  • 大義のために、誰かが“使われる”
  • それを当然として回り続ける構造

九十九は、その構造に「違和感」を抱き続けた人です。
だからこそ彼女は、目の前の敵を倒すより先に、**“構造の停止”**を望む。

ここが、九十九が「大人のお姉さん」みたいな軽いキャラに見えて、実は作中屈指の重い人物である理由です。


東堂葵の師匠としての九十九:戦い方より“生き方”を教えた

九十九=東堂の師匠、という事実は有名ですが、面白いのは「東堂の強さ」を九十九が作ったというより、**東堂の“哲学”**を形作っている点です。

東堂の有名な問い「どんな女がタイプだ?」はネタとして消費されがちですが、裏には価値観の確認があります。

  • 何が好きか
  • 何に惚れるか
  • 何のために戦うか
  • 自分は何者か

九十九は、東堂に「術式のコツ」より先に、こういう“軸”を渡している。
だから東堂は折れにくい。戦闘IQが高いのも、価値観が太いからです。

九十九は弟子を「強くする」のではなく、「自分で立つ」方向に押し出すタイプの師匠でした。


術式「星の怒り(ボンバイエ)」を分かりやすく解説

九十九由基の術式は「星の怒り(ボンバイエ)」。
ポイントは一言でいうと、

“仮想の質量”を付与して、殴打・衝突の威力を現実離れしたレベルまで引き上げる術式
です。

あなたの原稿にあった「質量って何?」問題、ここを噛み砕きます。

質量=「物体そのものの量」

日常感覚で言えば「kg」で表されるやつ。
重さ(体重)っぽく見えるけど、厳密には「重力がかかった結果の力」とは別の概念です。

ただ、呪術廻戦の文脈で重要なのは物理の授業ではなく、戦闘への翻訳。

九十九の術式は、ざっくり言えば

  • 自分(またはガルダ)に“ありえない質量”を乗せる
  • その状態で殴る/叩きつける/ぶつける
  • 相手の防御や耐久を「質量の暴力」で踏み潰す

というタイプです。

だから九十九の攻撃は、「高火力」ではなく**“破壊の規格が違う”**。

呪術では防御にも呪力や術式の理屈がありますが、九十九はそこを「質量」で押し潰してくる。
小難しい術式勝負を、フィジカルの極地に引きずり落とす感じです。


ガルダの役割:九十九の術式が“暴力”で終わらない理由

九十九には式神のような存在としてガルダが付きます。
ガルダがいることで、九十九の術式は「殴って終わり」ではなく、戦術の幅が跳ね上がります。

  • 鞭のようにしならせて中距離を支配
  • 叩きつけて面制圧
  • 相手の動きを縛る/行動を制限する
  • “質量”を乗せる対象を分散し、攻撃パターンを変える

九十九の怖さは、近接最強クラスなのに「中距離の制圧」もできる点。
本来、近接特化の術師は距離を取られると辛い。ところが九十九はガルダでそれを潰してきます。


反転術式・近接戦の強さ:なぜ九十九は“殴り合い”が異常に強いのか

九十九は特級の中でも「殴り合い」が強い。
これは単に筋力が強いのではなく、以下が噛み合っているからです。

  • 質量付与で一撃が重すぎる
  • ガルダで距離と角度を作れる
  • 反転術式で被弾しても立て直せる(継戦能力)
  • 研究者気質で、相手の手札を読みながら組み立てる

つまり九十九は「火力が高い格闘家」ではなく、
近接を土台に、戦術と回復で“詰ませる”タイプです。

このタイプが羂索と戦うと、どうなるか。
ここからが本題です。


羂索との戦いの行方:勝敗だけで語れない“成果”と“代償”

羂索は千年単位で計画を積み上げてきた黒幕級の存在。
九十九が戦った相手として、これ以上ないほど重い相手です。

この戦いを「九十九が勝った/負けた」でだけ見ると、物足りなくなります。
なぜなら九十九は、羂索の“全て”を止められなくても、重要な情報と代償を引き出したからです。

1) 羂索は“手札を切らされた”

羂索は基本的に情報を隠し、相手の知らない理屈で殺すタイプです。
九十九はそれを許さず、戦闘の中で羂索の奥の手・対処能力を表に引きずり出していきます。

黒幕にとって一番嫌なのは、計画の前に「手の内が割れる」こと。
九十九はそこに迫った。

2) 九十九は「戦いながら結論を出す」人だった

九十九は研究者的に見えて、現場主義でもあります。
羂索戦では、術式と戦術のやり取りの中で「この相手は何をしてくるか」を読み、構造を見抜こうとする。
呪術廻戦の世界で、黒幕相手にこれをやれる術師は貴重です。

3) それでも勝敗が厳しかった理由

羂索は“準備”の化け物です。
九十九は純度の高い強さと思想を持っていても、「羂索が積み上げてきた千年の安全策」を上回るのは簡単ではない。

ここが呪術廻戦らしい残酷さで、
九十九は“正しい方向”を向いていたのに、勝利の条件が揃うとは限らない。


九十九の死が物語に残したもの:思想・情報・呪術界の未来

九十九由基の価値は「強さ」だけじゃありません。
むしろ彼女が物語に残した最大の遺産は、

  • 原因療法という問い
  • 天元・結界・同化という構造への視線
  • 羂索という黒幕に対する“圧力”
  • 呪術界を終わらせるという方向性

です。

五条悟が「呪術界を変える」なら、
九十九は「呪術界を終わらせる(呪霊の発生源を断つ)」側の人。

呪術廻戦が最後に向かっていくほど、「戦いの勝ち負け」より「世界の設計」を問う比重が増えます。
その問いを最初から投げていたのが九十九です。

だから彼女は、登場回数の割にずっとデカい。


まとめ:九十九由基は「最強」より「解決」を選んだ特級術師

九十九由基は、派手な登場は少ないのに、作品の背骨に刺さっているキャラクターです。

  • 特級術師として別格の実力
  • 術式「星の怒り(ボンバイエ)」による“質量の暴力”
  • ガルダで戦術の幅を広げる
  • 反転術式を含む高い継戦能力
  • 何より「原因療法」という思想で世界を見ていた

羂索戦の結果だけを見ると苦い。
でも九十九が投げた問いは、最後まで作品に残り続けます。

呪霊を祓うだけなら、呪術師は“掃除屋”で終わる。
九十九はそこから一歩踏み込み、「なぜ掃除が終わらないのか」を問い続けた。
この姿勢こそが、九十九由基が特級である本当の理由です。

引用:呪術廻戦9巻

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