【ガンダム】シャリア・ブル(ヒゲマン)とは?人物像・活躍・考察まとめ

■はじめに
「シャリア・ブル」は、宇宙世紀ガンダムシリーズ屈指の“玄人受け”キャラとして知られるニュータイプパイロットです。初登場は『機動戦士ガンダム』第38話「再会、母よ…」という本編終盤。そのため一般知名度はやや低いものの、重厚な語り口、強烈な存在感、そして“ニュータイプ論”の象徴として、根強い人気を誇ります。
ここでは、シャリア・ブルという男の来歴と活躍、人物像、ガンダム世界における意味、そしてファンや派生作品における彼の位置付けなどを掘り下げていきます。
■登場作品・設定
◇『機動戦士ガンダム』(1979)
- 所属:ジオン公国軍
- 階級:大尉(後年の派生作品で中佐・大佐に昇進設定も)
- 役割:キシリア・ザビ配下のニュータイプ部隊パイロット
- 搭乗機:モビルアーマー「ブラウ・ブロ」
一年戦争も佳境に入った宇宙世紀0079年12月。ジオン公国軍はニュータイプ兵士の開発・運用を急ぎ、シャリア・ブルをキシリア直属の部下として前線に投入します。彼の実戦デビューは連邦軍が宇宙に上がった直後、ホワイトベース隊との遭遇戦となります。
◇外伝・ゲーム・新解釈作品
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
- 『ギレンの野望』シリーズ
- 『機動戦士ガンダム外伝 ジークアクス』などのパラレル設定
- ノベライズ、コミカライズ作品等
いずれも「キシリアのニュータイプ計画の切り札」「サイコミュ兵器の実験体」として描写されることが多いですが、後年ではシャアやララァとの人間的なつながりや、ニュータイプ論における重要な役割がクローズアップされる傾向にあります。
■人物像とキャラクター性
◇知的で理知的な“大人”のニュータイプ
- シャリア・ブルは、アムロやララァと比べて年齢が高く(原作では30代半ば~40歳前後とされる)、人生経験豊かな軍人として描かれます。
- 戦争に巻き込まれながらも「他人の心が読めることの孤独」や、「ニュータイプ能力の功罪」について冷静に受け止めているのが特徴です。
- 若きアムロやララァとは異なり、ニュータイプ能力と“どう向き合うべきか”を考え続けてきた大人であり、彼なりの人生哲学・倫理観を持っています。
◇温厚で物静かな紳士
- 派手な戦闘好きや野心家とは正反対。彼は他人に対して誠実・謙虚で、無駄な戦いは望みません。
- キシリアに対しても一切媚びず、かといって反抗もせず、寡黙に職務を全うする姿勢が好感されています。
- ホワイトベース隊との戦闘中、ニュータイプとしてアムロと“心が通う”場面では、「こんな少年が…!」と驚きつつも、その能力に敬意を持ちます。
◇ニュータイプ兵士の“限界”を象徴
- 彼はジオン軍ニュータイプ研究の集大成、サイコミュ兵器(ブラウ・ブロ)の切り札として送り込まれます。
- しかし戦場では、より若く“純粋な”ニュータイプ(アムロ)には敵わず、「俺の負けだ…」と悟るような表情を見せます。
- ここに「ニュータイプ兵士=兵器利用の危うさ」と「本当のニュータイプとは?」というテーマが集約されています。
■劇中での活躍
◇初登場~ブラウ・ブロでの戦い
- 宇宙に上がったホワイトベース追撃のため、シャリア・ブルはサイコミュ搭載モビルアーマー「ブラウ・ブロ」に搭乗。
- ララァ・スンと並ぶ“純粋なニュータイプ”とされ、敵の意識(アムロ)を感じ取りながら戦闘を行います。
- 高い操縦技量でアムロのガンダムを追い詰めるものの、最終的にはニュータイプ同士の感応で混乱し、アムロの反撃を受けて戦死。
◇死の間際に残した言葉
- シャリアは戦いの最中、アムロの心の声を感じ「あなたはニュータイプだ…!」と語りかけるような描写がありました。
- そして自分の死を受け入れながらも、ニュータイプという存在が人類にとってどんな意味を持つか、静かに思いを巡らせています。
- その死は、ララァの死とも相まって「ニュータイプ=戦争の道具」に対する皮肉と哀愁を強く残しました。
■「ニュータイプ論」におけるシャリア・ブル
◇“成熟したニュータイプ”の意味
- アムロやララァは「若者の革新性」を象徴する一方で、シャリアは「経験と苦悩を抱えた成熟者」として描かれます。
- 作中で彼は、自分が選ばれた理由を「子供の頃から普通じゃなかった」「人の心が分かってしまう」などと語り、普通の人間と自分の違いに悩み続けていたことを仄めかします。
- その上で「ニュータイプであっても万能ではない」「戦争の道具になるしかなかった」という現実を、苦々しく受け入れていました。
◇人間としての“悲哀”と“誇り”
- シャリアは自身の能力や立場に誇りを持ちつつも、それが本当に人類の進化に寄与するのか常に疑問を持っています。
- これは、後年の『逆襲のシャア』でシャアが「人は変われるか」を問い続けるテーマにも繋がっており、富野ガンダムの“ニュータイプ観”の深みを象徴しています。
■他作品・派生での描かれ方
◇ゲーム・外伝での扱い
- 『ギレンの野望』などシミュレーション系ゲームでは、「高いニュータイプ値」と「サイコミュ兵器適性」を持つ有力パイロット。
- if展開では「サイコミュMSの開発指導者」「ニュータイプ部隊の隊長」などで活躍。時にシャアやララァと共闘することも。
◇『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
- 原作コミック版・アニメ版では設定が一部拡張されており、より人格者的な描写が強調されています。
- 実験体としてではなく、「戦後の平和を見据えたニュータイプ論者」としての台詞や立ち振る舞いが追加。
◇『ジークアクス』などパラレルワールド作品
- 近年のパラレル作品や二次創作、ノベライズ等では、しばしば「ニュータイプ部隊の中核」や「ララァとアムロの橋渡し役」的存在としてアレンジされています。
- 一部のif作品では、シャア失踪後にジオンの新しいリーダー格として登場するパターンも。
■ファン人気・考察・名シーン
◇なぜ「隠れた人気キャラ」なのか
- 出番は本編数話のみですが、落ち着いた大人の魅力・達観した人格・理知的な言動で強い印象を残しました。
- ニュータイプの孤独・悲哀・戦争の道具としての苦悩を体現するキャラであるため、深読み・考察がしやすい。
◇名セリフ・名場面
- 「人の心が分かるというのは、決して楽なことじゃない……」
- 「お前がニュータイプか! 若い力に……!」
- 「私の負けだ、アムロ・レイ……」
- これらの台詞には、戦士としてだけでなく“人間シャリア・ブル”の苦しみと矜持が凝縮されています。
■“シャリア・ブルのその後”と仮定考察
- もし彼が生き延びていたら――という「if」は、ガンダム界隈でしばしば語られます。
- 一部外伝では、ララァ亡き後のニュータイプ部隊再編成や、終戦後の平和構築に携わる人格者として描かれることも。
- 「成熟したニュータイプ」がどう世界を変え得たか?という視点は、今なおファンを惹きつけてやみません。
■まとめ~“静かなる革命者”シャリア・ブル
シャリア・ブルは、派手な戦績やカリスマ性こそないものの、「ニュータイプとは何か」「人間の進化とその痛み」「大人の誇りと哀しみ」といったテーマを全身で体現した、宇宙世紀屈指の名脇役です。
彼のような“物静かな哲学者”が戦争の渦中にどう生きたか、その姿勢は、アムロやシャア、ララァといった若い世代と好対照であり、宇宙世紀ガンダムの深い世界観に厚みを与えてくれます。
その短い登場に凝縮された人間ドラマは、ガンダムファンにとって一生忘れられない名シーンを生み出しました。
「ニュータイプとは何か?」という問いに、真正面から苦悩し、そして潔く死んだシャリア・ブル。
その静かな存在感は、今もなおガンダムシリーズの奥底に静かに輝き続けています。



